
わずか10万円という超・超・超低予算で制作された映画ながら、美しい映像美と独特の世界観で見るものを虜にする。「濱マイク」や「探偵物語」などの林海象作品を彷彿とさせるハードボイルな作品。児山監督は実際、林海象組の助監督出身。
【物語】
麻薬の運び屋、加瀬。彼は人生に絶望している。同級生にレイプされ、脅されている女子校生
梓(あずさ)彼女は日常的な脅しによってどこか感覚が麻痺したような毎日を過ごしている。
ある日、加瀬は仲間の松元に大量のコカインを横流しする話を持ちかけられる。 加瀬は、うまくコカインを手に入れ、後は仲間の松元と落ち合えば万事うまくいくはずだった。そんな折、ふと、街の片隅にある公園で出会う加瀬と梓。
二人はお互いにどこか似たような空気を感じていた。しかし梓とまた会う約束をした加瀬を待っていたのはコカインの正当な持ち主のヤクザで…
中村玄悟は主人公・加瀬にコカイン横流しの話をもちかける松元繁を「チンピラ特有の小物感」を絶妙に醸し出し演じきった。
本作品は演技的な演出は勿論、徹頭徹尾「映像美」というものに拘った作品で、そのコンセプトはキャラクターの衣装、髪型、アクセサリーなどのビジュアル面にも効果的に反映されている。
児山監督の演出力に非常に助けられ、緻密かつ丁寧な演出をこの作品で受けられたのは役者人生において大きな財産です。企画段階から話に参加させてもらっていたので、多くの先輩俳優さん、友人にも助けられて完成にこぎつけた宝物のような作品で、思い入れも人一倍強いです。監督のクランクアップ時の「男泣き」が全てを物語っています(笑)